理事長挨拶

この度、NPO法人福岡地域救急医療連携推進協会の理事長を拝命致しました平川勝之でございます。
福岡地域の皆様、また救急に携わる関係各位の皆様には、日ごろより大変お世話になっており、心より感謝申し上げます。平成30年、救急医療に携わる様々な職種の資質や技術の向上を目的に当協会を設立致しました。当地域における救急医療の質の高さは、「目撃された心原性心肺停止症例の救命率および社会復帰率」が全国でもトップクラスであることによって証明されています。これは市民の方々の適切な通報および処置に加え、救急医療に係わる関係各位のご尽力の賜物と拝察いたします。平成14年に開始された救急業務メディカルコントロール体制の下、救急医療の端緒となる救急隊に対し、医師による適切な指示や助言、教育、事後検証等による病院前救護の質の向上が得られたことや、救急隊と医療機関との密な連携により迅速で適切な病院搬入が可能になった影響が大きいものと考えます。非常に優れた救急医療提供体制を誇る福岡地域ではありますが、令和2年からおよそ4年もの長期にわたり猛威をふるったCOVID-19では、COVID-19・疑似症患者に加え通常救急の患者まで搬送困難事例が多発してしまいました。令和6年度からは医師の働き方改革が始まり、救急に携わる医師やスタッフの確保がさらに難しくなってきており、救急医療を取り巻く環境はさらに厳しくなってきているのが現状です。福岡地域では人口の増加に加え、急速な高齢化により、今後も救急出動件数の急速な増加が見込まれます。この様な中、これまで培ってきた良質な救急医療提供の継続と発展を目的とした活動を行ってまいりたいと考えています。
事業内容といたしましては、教育、統計調査、市民啓発活動を3本柱とし、皆様からのお力添えを頂きながら、役員、社員一丸となって各事業に取り組んでまいる所存です。市民の皆様をはじめ、会員、関係各位のご理解、ご協力をお願いするとともに、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
NPO法人福岡地域救急医療連携推進協会
理事長 平川 勝之
設立趣旨
平成30年2月に福岡市よりNPO法人の設立認証を頂き、平成30年度より活動を開始することとなりました。この法人は、福岡地域における病院前救護および救急医療に携わる者に対して、知識・技術の維持向上を図るための教育活動や、限られた救急医療資源を有効活用するための統計調査事業、病院前救護と救急医療の連携を推進し地域住民に対する質の高い救急医療の提供に寄与することを目的として作られました。
平成3年、救急救命士制度の発足に伴い、彼らの行う医療行為の質を保証する目的で、福岡地域においても、平成15年に福岡地域救急業務メディカルコントロール協議会(福岡地域MC協議会)が設置されました。MCの内容は、救急隊が現場活動において医療行為を行う際の指示や指導・助言(オンラインMC)、病院前救護実施内容についての事後検証(オフラインMC)と教育です。福岡地域では、地域内の7つの消防本部で発生した重症・死亡事案をはじめ、多数傷病者発生事案や特殊な症例等を対象に、現在約20名の医師が毎月1回開催される地域MC協議会の下部組織である「福岡地域救急業務MC協議会事後検証委員会」において、その事後検証等の実務を担っています。この法人は福岡地域MC協議会や事後検証委員会メンバーに加えて、福岡県医師会、福岡市救急病院協会さらに産業医科大学公衆衛生学教室にもご協力を頂き、上記の目的に沿った事業を行う方針です。
法人概要
01.病院前救護及び救急医療に携わる者の教育に関する事業

教育活動としては、現在行っている事後検証活動に加え、外傷患者の病院前救護に関する教育プログラムである「外傷セミナー」、災害時発生した多数傷病者への適切な対応に関するプログラムである「多数傷病者災 害対応セミナー」の定期的開催を予定しています。
これら実践的な教育活動は、現場活動において非常に有効で効果も期待されるものですが、これまでは有志によるいわゆるボランティア活動として開催されてきました。しかしながら、最近では人的・物的確保が困難な状態となってきております。そのため、当法人を通じ地域全体で支援したいと考えています。
02.病院前救護及び救急医療に関わる統計調査に関する事業

現在救急隊が使用している「救急活動記録票」の「初診時の傷病名」や「重症度」が、わが国の救急統計に用いられています。この「初診時の傷病名」は傷病者が救急外来へ搬入された直後に記載するもので、確定診断と異なっていることが多く、また傷病名ではなく症状が記載されていることもあります。「重症度」については、総務省が定めたものを使用しており、実際の医療現場における緊急度や重症度を反映しているとは言えません。ここで福岡市の救急搬送件数についてご紹介しますと、平成29年度の救急出動件数は77763件、搬送者数は67747人で、5年前に比し約1万件、約1万人、10年前と比べて2万件、2万人増加しています。福岡市およびその近郊では、今後著しい高齢化社会を迎えるため、さらなる救急搬送症例の増加が見込まれます。そのような状況下ではありますが、残念ながら救急隊の増隊は今のところ見込めず、また救急車を受け入れる医療機関数の増加も期待するのは難しい状態であり、いずれ福岡地域の救急医療体制はパンクしてしまう可能性さえあります。救急車の適正利用、小児救急医療電話相談(#8000)や救急医療電話相談(#7119)の活用、福岡県医師会診療情報ネットワーク「とびうめネット」の普及等に加え、救急隊が傷病者を正しく観察し適切な病院選定を行うため、またそのための指導・教育を行っていくためには、救急隊の観察内容や想定する病態、初診時傷病名のみならず、確定診断を含む予後調査が必要と考えています。
03.地域住民に対する救急医療の普及・啓発事業

平成28年度のデータではありますが、心肺機能停止傷病者のうち心原性かつ一般市民による目撃があった事案の1月後の生存率は、全国平均13.3%に対し福岡県は24.4%(福岡市31.4%)。社会復帰率は全国平均8.7%に対し福岡県は16.3%(福岡市22.9%)と非常に良好な結果がでています。これは行政、郡市医師会や各消防本部を中心とした地域住民に対する救急医療に関する普及・啓発活動の賜物であると思われますが、当法人においても、このような地域住民向けの活動はなにより重要であるという認識のもと、事業計画をたてて積極的に取り組みたいと考えています。
役員一覧
理事長 | 平川 勝之 |
地方独立行政法人福岡市立病院機構 福岡市民病院 副院長 |
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副理事長 | 赤星 朋比古 |
九州大学病院救命救急センター長 九州大学医学研究院 臨床医学部門 救急医学講座 教授 |
副理事長 |
仲村 佳彦 |
福岡大学病院 救命救急センター長 |
副理事長 | 則尾 弘文 |
福岡県済生会福岡総合病院 救命救急センター長 |
理 事 | 秋本 亮一 | 医療法人 AGIH 秋本病院 理事長・院長 |
理 事 |
伊東 裕幸 |
一般社団法人 宗像医師会病院 病院長 |
理 事 | 岩﨑 浩己 |
独立行政法人国立病院機構 九州医療センター 病院長 |
理 事 | 久保 達彦 |
広島大学 大学院医系科学研究科 公衆衛生学 教授 産業医科大学 産業生態科学研究所 環境疫学 非常勤講師 |
理 事 | 小林 邦久 |
福岡大学筑紫病院 地域医療支援センター長 |
理 事 | 髙山 昌紀 | 社会医療法人青洲会 福岡青洲会病院 統括院長 |
理 事 | 田中 仁 |
医療法人社団 昭友会 たなかクリニック 院長 |
理 事 | 谷口 修一 | 国家公務員共済組合連合会 浜の町病院 院長 |
理 事 |
富永 隆治 |
社会医療法人財団池友会 福岡和白病院 院長 |
理 事 | 中根 博 |
独立行政法人国立病院機構 福岡東医療センター 院長 |
理 事 | 中房 祐司 |
日本赤十字社 福岡赤十字病院 院長 福岡市勤務医会 会長 |
理 事 |
松浦 弘 |
福岡県済生会福岡総合病院 院長 |
理 事 | 横倉 義典 |
福岡県医師会 理事 |
監 事 | 堀内 孝彦 | 地方独立行政法人福岡市立病院機構 福岡市民病院 院長 |
歴代理事長


平成30年7月17日~ 令和2年6月30日 |
寺坂 禮治 |
令和2年7月22日~ 令和6年6月30日 |
松浦 弘 |
沿革
平成29年11月 | 設立総会を開催 |
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平成30年2月 | 福岡市より設立を認証 |
平成30年3月 | NPO法人として設立登記 |
平成30年4月 | 福岡地域の各消防本部(福岡市、春日・大野城・那珂川、筑紫野大宰府、宗像地区、粕屋北部、粕屋南部及び糸島市)より「メディカルコントロール体制に伴う救急活動の事後検証業務」を受託 |
平成31年2月 | 第1回外傷セミナーを開催 |
平成31年3月 | 第1回多数傷病者災害対応セミナーを開催 |
令和元年10月 |
第2回外傷セミナーを開催 |
令和2年2月 | 第2回多数傷病者災害対応セミナーを開催 |
令和3年10月 | 第3回外傷セミナーを開催 |
令和4年11月 | 第4回外傷セミナーを開催 |
令和5年2月 | 第3回多数傷病者災害対応セミナーを開催 |
令和5年7月 | 第5回外傷セミナーを開催 |
令和5年10月 | 講演会開催 済生会宇都宮病院 救命救急センター長 小倉 崇以 医師(九州大学病院百年講堂にて) |
令和5年11月 | 第6回外傷セミナーを開催 |
令和6年2月 | 第4回多数傷病者災害対応セミナーを開催 |
令和6年7月 | 第6回外傷セミナーを開催 |
令和6年7月 | 現在に至る |
定款
賛助会員一覧
協力機関一覧
糸島市消防本部 | http://www.city.itoshima.lg.jp/s038/010/010/010/index.html |
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春日・大野城・那珂川 消防組合消防本部 |
http://fukuoka.kon119.or.jp/ |
粕屋北部消防本部 | http://www.khfd-119.koga.fukuoka.jp/ |
粕屋南部消防本部 | http://www.kasuyananbu-shobo.jp/ |
筑紫野太宰府消防組合消防本部 | http://www.chikuta119.jp/ |
福岡市消防局 | https://www.city.fukuoka.lg.jp/syobo/ |
宗像地区消防本部 | http://www.munakata119.jp/ |
統計調査事業について
統計調査事業の詳細は、以下のサイトをご確認下さい。